元祖「健康」コンビニ、アバンギャルドで勝負? ナチュラルローソン、初出店から20年【けいざい百景】:時事ドットコム
業界では異色の健康志向コンビニエンスストア「ナチュラルローソン」が、初出店から今年で20年を迎えた。「体にいいもの」にこだわり続け、コアなファンを地道に育成。足元は他のコンビニチェーンと同様、新型コロナウイルス感染拡大による来店客の減少に苦しむが、コロナ禍こそ万人がさらに健康を意識する契機になるとヘルシー路線を堅持する方針だ。ただ、他チェーンも「健康」にはすでに着目。今後も健康コンビニの「元祖」でいられるか、ナチュラルローソンのとがった商品開発の真価が問われる。
「トマトバーガー」
「こんなものが売ってました」。7月下旬の昼下がり、後輩の男性記者がうれしそうに手にしていたのは、パンの部分が半分に切ったトマトというナチュラルローソンの期間限定の新商品「トマトバーガー」。具材はレタス、ベーコン、ポテトサラダに、さらに輪切りのトマトが加わる。低糖質・野菜たっぷりの超ヘルシーバーガーだ。
奇をてらって作ったわけではない。ナチュラルローソンの商品開発担当部長を務める鷲頭裕子さんは、「コロナ禍で不摂生な巣ごもり生活になりがちな中、『野菜を食べたい』というお客さまのニーズに応えようとしたものです」と説明する。バーガースタイルになったのは、「サラダばかりでは飽きるだろうという開発担当者の配慮」だそうだ。
後輩記者は、「トマトの酸味と、ベーコンの塩味、ポテトサラダのまろやかさが調和している」「健康になった気がする」と評価する一方、食べ終わると、「トマトの味しか記憶に残らない」と率直な感想も漏らした。
ローソンの「ラボ」
ナチュラルローソンは、ローソンの男性社員が社内コンペで「家族が健康になれるコンビニ」を提案して生まれたローソンの新業態だ。2001年7月にオープンした東京・自由が丘の1号店は、青果売り場やサプリメント売り場が充実し、果物をその場で搾るジュースバーや玄米が炊けるジャーもあった。
時は、小泉政権が発足し、愛子さまがお生まれになった年。当時のコンビニと言えば客はほとんど男性で、弁当はご飯大盛りに揚げ物がっつり。いわゆる「コンビニ弁当」のイメージは、「健康」とは対極にあった。一方で、女性の社会進出や、健康への意識も芽生え始めた時代。ナチュラルローソンの誕生は、時代の要請の先取りだった。
しかし、日本の健康市場は想定通りに伸びなかった。長引くデフレ下では、消費者が最優先するのは健康より価格。首都圏で始めた店舗網を関西に広げようとしたこともあったが、通常のコンビニが手掛けない商品ばかりのため製造工場が見つからず、撤退。全国展開の野望は当面取り下げざるを得なかった。
代わって今は、首都圏の1都3県の約140店舗というコンパクトさゆえのフットワークを生かし、ローソンの「ラボ(研究所)」としての役割を強めている。原材料の調達量も少なくて済み、思い切った商品開発ができる。もし売れ行きが好調なら、ローソンにも採用して全国展開するという仕組みだ。
かつてローソンの商品担当も務めた鷲頭さんは、「ナチュラルローソンはローソンの客層と全然違います。全国の誰にも手に取ってもらえるものではなく、多少値が張ってもとことん体にいいものが求められます」と話す。
商品開発の方向性は明快だ。「野菜を食べよう」「おいしい低糖質」「良質なタンパク質」「腸内環境を整えよう」など、独自に設定した11のテーマに基づいて行われる(ちなみに11番目のテーマが「ペットの健康な食事」であることはあまり知られていない)。開発担当者の8割が女性で、管理栄養士などの有資格者もいる。
0 件のコメント:
コメントを投稿